エーザイ|もの忘れの教室|認知症と老化による「もの忘れ」の違い

認知症と老化による
「もの忘れ」の違い

「もの忘れ」と「認知症」の
違いをくわしく解説します。

監修:東京医科歯科大学 脳統合機能研究センター
   特任教授 朝田 隆 先生

認知症と老化による「もの忘れ」の違い

認知症は、脳の認知機能がいちじるしく低下した状態です。
認知機能というのは、記憶、言語、理解、判断、論理、計算、遂行、注意など、「自分や周囲を正確に認識し、きちんと実行するための知的機能」といえます。

認知症は、もの忘れ(記憶障害)だけではなく、失語、失行、失認、遂行障害といったさまざまなかたちであらわれます。

認知症のおもな症状(くわしくは〈e-65.net〉をご覧ください)

認知機能の低下

  • 認知症の初期段階では「もの忘れ」が目立ちます。(記憶障害)
  • いまいる場所、日付や時間、話している相手などを認識できなくなります。(見当識障害)
  • 言葉を理解したり正しく話すことなどに支障をきたします。(失語)
  • 身についていた動作や行動などが目的どおりに行えなくなります。(失行)
  • 見たもの、聞いたものなどをうまく認識できなくなります。(失認)
  • 判断力や注意力が低下して、ものごとの計画・実行がうまくいかなくなります。(遂行機能障害) など

BPSD(認知症の行動・心理症状)

その他、認知機能の低下にともない不安感やイライラ感が強くなり、抑うつ症状や睡眠障害、幻想・妄想、行動異常が現れることがあります。

BPSD

老化による「もの忘れ」と認知症の違い

老化による「もの忘れ」、認知症による「もの忘れ」

認知症(とくにアルツハイマー型認知症)の記憶障害の特徴

それは「記銘力の低下」「エピソード記憶の喪失」「記憶の逆行性喪失」です。

「もの忘れ」にはさまざまな原因が

記銘力の低下

記銘力(新しいことをおぼえる力)が低下するので、昔の記憶は保たれていても、とくに近時記憶(長期記憶のなかで数分から数時間ほど保たれる記憶)が失われてしまいます。

エピソード記憶の喪失

体験した内容ではなく、体験したこと自体を忘れてしまいます。たとえば、「食事のメニューを忘れるのではなく、食事をとったこと自体をすっかり忘れてしまう」といったケースです。

記憶の逆行性喪失

新しい記憶から、タイムスリップするように過去へ向かって忘れていく傾向がみられます。